田中亮事務所・第十八回作品
小説「 呪われし勇者の伝説シリーズ/ガーランドのモンスター図鑑「女王蟻」〜勇者の見る夢2・闇の王より〜」
作:田中亮
イメージイラストレーション:ちょく「みんな、みんな、モンスター。」
◆ご挨拶:
今回は戦後の少年犯罪史上、最も悪質として広く知られている『女子高生コンクリート詰め殺人事件』をモチーフにして、いつものメンバーでモンスター図鑑を書いてみました。
もう二十代も後一ヶ月で終わるんですが、色々思っていたのと違う、絶望的で地獄の現実が、たまに目の前に現われて、狼狽します。
この事件は、その悲しい現実の象徴のような気がして、向き合いたかったんです。
この世界の一番汚い部分と、暴力と。
それはきっと、自分の一番醜い部分だから。
それと向き合って初めて、真なる人のあったかさや優しさや思いやり、愛が見えてくるかも知れない、そう思って。
今回も例に漏れず、ふらふらと迷いながら、ありのままのいつもの私です。
私の、そのまんまの、作品です。
どうか残虐でとても痛い作品ですが、心の限り、一生懸命書きました。読んで楽しんで頂けたら、幸いです。えんas田中亮
◆作品詳細
タイトル:呪われし勇者の伝説シリーズ/ガーランドのモンスター図鑑「女王蟻」〜勇者の見る夢2・闇の王より〜
作:田中亮
イメージイラストレーション:ちょく
アラスジ:現代に良く似たファンタジーの世界。そこでは、世界を呪って死んでいった人間は、モンスターとなる。実際の現代社会で起こったノンフィクション事件をモチーフに、モンスターとなった犯人、また被害者と、彼らを倒す使命を持つモンスター処刑人である勇者の、壮絶な戦いの記録。
第二段である今回は、1989年末から翌年始にかけて起きた代表的な少年犯罪である、女子高生コンクリート詰め殺人事件をモチーフに、残忍な犯行に及んだ非行少年達の心理と、それを生み出した社会の病理、また被害者少女の地獄の苦しみと悲しみを、モンスターに例え、勇者に、その全てを叩っ切らせます。その行為が、いつか全ての悪夢を終わらせると信じて。キャッチコピー「みんな、みんな、モンスター。」
◆読み方
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告知用宣伝文章
「僕は書く」 田中亮
師走ですね。一作品前の、イランの同性愛の奴が、まあまあ評判良かったり、内容が衝撃的だったりで、書くのも大変だったり、私なりに翻弄されて、創作そのものから遠ざかってました。
何か、走っても、答えは自分で見つけるしかない。誰かを愛しても、仲間も、私の脳が作り出した一つの像に過ぎない。現実はどこまで行っても幻で、一つ一つ大切なものが消えていく。
うたかたのような生活の中で、私を現実に引き戻すのは、痛みです。今も世界のどこかで、泣きながら鞭打たれ働く子供がいる。心を殺して、歯を食いしばり監禁されている女子がいる。借金地獄に絶望し、自殺する人間がいる。
私の絶望なんて、彼らに比べたら、比べるにも値しないものです。
私は、とても、とても、幸せなんです。だから私は幸せな場所から降りて、手を差し伸べます。私、何度も嘘吐きました。あなたと一緒に、落ちるって。でも本当は、あなたを救い上げたい。そしてもう一度あなたの、笑顔が見たいです。
私が堕落している間に、幸せな私を恨みながら死んでいった誰かに、私はこの物語を書きたい。
私なんて、いらない。守るべき、ちっぽけな私なんて、何の意味も為さない。安住の地に沈むぐらいなら、いつでも戦場へ。
明日、死ぬかのように生きなければ、生には何の意味もない。胸をつく焦燥感を消す為に、僕は書く。僕は書く。僕は書く。Copyright (C) 2010 Tanaka Ryo Office.